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ソニーの技術力とリアリティの奥深さ

11月28日から30日の3日間、ソニー本社でSTEF 2018(Sony Technology Exchange Fair)が開催されました。STEFはエンジニアをはじめ、世界中のソニーグループの皆さんが集い、技術開発のアピールやアイデア交換を行い、つながりあう場です。

R&Dの間口を広げる取り組み

今年は、勝本さん、平山さんのリーダーシップの下、ソニーの経営の方向性である「人に近づく」をテーマに掲げて頂き、また、従来はエレクトロニクス事業に向けた展示が多かったのに対し、今回はエンタテインメント、金融事業での活用も意識した運営がされていました。

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先日のQuarterly Meetingでもお話しした通り、ソニーの事業はすべてテクノロジーに支えられています。勝本さんにも、深堀りするテクノロジーの領域はフォーカスしつつも、活用の間口はグループ全社に広げ、テクノロジーのシナジーを発揮してほしい、と話してきていたので、今回のSTEFには大変注目していました。事務局をはじめとする皆さんの努力もあり、今年は、金融、エンタテインメントビジネスからの来場者が大幅に増加したそうです。

R&Dセンターと金融サービスの連携

今回のSTEFでまず印象に残ったのは、ソニー銀行とソニーのR&Dセンターとの連携で行われた、次世代プライバシー保護技術と情報金庫実証実験の取り組み。R&Dセンターの技術で支えられる未来のソニー銀行のサービスの提案です。ソニー生命を中心とするソニーの金融サービスには豊富なデータがあります。また、ソニー銀行、ソニー損保は日本のデジタル金融サービス企業の中でも先駆的な存在です。このような新しいサービスの提案、そしてコラボレーションが進んでいることは非常にうれしく思いますし、まだまださまざまな機会が眠っているのではないかと改めて感じました。ぜひ事業領域を超えて、グループ全体でデータやテクノロジーによるシナジーのさらなる推進・強化をお願いしたいと思います。

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リアリティの奥深さを再認識

今回のSTEFでは、リアリティに関する私自身の新たな発見もありました。これまで何度か、「リアリティからリアルタイムへ」という言葉を使い、ソニーの得意領域である高音質・高画質のリアリティの追求に加えて、これからはリアルタイム価値の提供が重要になるという話をしました。しかし今回さまざまな展示を目にし、皆さんの熱心な説明を受けるうちに、リアリティには音や画の解像度だけでなく、空間という軸もあることに気が付き、リアリティの奥深さを再認識しました。

空間リアリティの事例

高いリアリティを持つ、インタラクティブなバーチャル空間

例えば、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)R&D部門の袴谷 忠靖さんの研究は、実空間のデータ(写真、光源、形状)を基に、高いリアリティを持つ、インタラクティブなバーチャル空間を生成します。これまでの技術では変化しない空間と対象物とをさまざまな視点から見ることしか出来なかったのに対し、袴谷さんの技術では、その空間にある物体の色や形、位置をユーザーが動的に変え、また、光線のシミュレーションを行うことで任意の視点から実写に近いクオリティの画像をリアルタイムで生成することが可能になります。バーチャルな空間をよりリアルに近づける技術です。

img_20181213_03.jpg手に持ったバーチャルカメラの視点から、バーチャル空間を自由に見る

画像から空間を立体的に再現し、移動情報を推定する技術

R&Dセンター ビジョンシステム技術開発部の福地 正樹さんは、二眼のステレオカメラの画像を使ってカメラの移動情報を推定し、また、いくつものカメラの静止画像からその空間を立体的に再現する三次元再構成技術の説明をしてくれました。移動情報と、立体的な空間の再現とを組み合わせることによって、例えばドローンに積んだカメラで撮影したエリアをバーチャルに三次元で再現し、ドローンの飛行位置を立体的に、よりリアルに把握することができます。ソニーのイメージセンサーの新たな用途の提案です。

音と空間との組み合わせによる、リアリティの高い音響体験を提供する

また、音と空間を組み合わせ、リアリティの高い音響体験を実現する、R&Dセンター オーディオ技術開発部の沖本 越さんの「シネマ向け新音響ソリューション」のデモもありました。映画館で耳穴開放型のイヤホンを装着し、キャリブレーション後に映画館のスピーカーと耳元のイヤホンの音を同時に再生することで、大きな空間にいながらも、個々人に特化したサラウンド音響環境を提供するものです。すぐ後ろで咳き込んでいる音が耳元から聞こえるデモなどはリアリティそのものでした。先日、人気ロックバンド「クイーン」のボーカルであるフレディ・マーキュリーを描いた伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観る機会があったのですが、名曲がいくつも流れるこのような映画の魅力をさらに高める技術だと感じました。ちなみにクイーンの音楽出版権は先日、完全子会社化したEMI Music Publishingにあります。

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バーチャル空間とリアルの融合による新しいエンタテインメントの提案

最後に、バーチャル空間とリアルの融合による新しいエンタテインメントの提案もありました。SIE R&D部門の太田攻さんのデモでは、VRヘッドセットを装着してワイヤレスにバーチャルな空間を歩き回り、またリアルな物体をそのバーチャル空間内で低遅延に操ることができました。これにより、例えば目の前の人とVRの世界ではバーチャルな公園空間を共有しながら、リアルなボールを使ったキャッチボールができます。実世界とバーチャルとの垣根がなくなるような、新しいエンタテインメントの可能性を感じました。

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このように、空間を軸としたリアリティ技術は非常に奥深いので、私も引き続き勉強したいと思います。

ソニーの存在意義である、クリエイティビティとテクノロジーの力で感動を生み出す

ソニーには、今回私がSTEFを通じて体験したような、テクノロジーのシーズ(種)が数多く存在しています。ソニーはこれまでも、社員の皆さんのクリエイティビティとテクノロジーの力によって、新しい感動を生み出してきた会社です。ここにソニーのソニーたる所以、ソニーの存在意義があると考えています。ファウンダーの井深さんはかつて設立趣意書に「技術者たちが技術することに深い喜びを感じ、その社会的使命を自覚して、思いきり働ける安定した職場をこしらえるのが第一の目的であった」と書かれています。これからも、皆さんのクリエイティビティとテクノロジーの力を思いきり発揮できるような環境づくりに、経営チームとして注力していきますので、大いにその機会を活用してほしいと思います。

今年はこれが最後のブログになります。この1年の皆さんの貢献には心から感謝しています。2019年がより良い年となるよう、さらに皆さんと力を合わせ、新たな顧客価値の創出に向けて励んでいきたいと思います。

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