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十時さんからの気づきと学び

2月2日に、グループ経営体制の強化について発表しました。今日は、41日付で社長 COO CFOに就任する十時さんとのエピソードを紹介します。

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■ IR・財務時代
私は、キャリアの色々な場面で十時さんから刺激を受けてきました。1990年、ソニー入社8年目で私はIR担当としてニューヨークに赴任し、94年に帰任しました。十時さんは、97年に私が本社の財務部にいた当時の同僚です。その頃、出井社長の下で「2010年プロジェクト」という来世紀のソニーを考えるプロジェクトが発足し、十時さん、そして現在常務で当時法務部の武井さんと私の3人のチームで、「連邦制」という仮説を立てました。自立しながら連携することを意味する連邦制は、今のソニーグループの体制につながるように思います。武井さんがブレーンで、パワーポイントを使えた十時さんが3人の意見を資料にまとめ、私がプレゼンをしたことを覚えています。

■ 事業への挑戦
2000年、私は自身の希望でソネット(当時、ソニーコミュニケーションネットワーク)に出向しました。キャリアにおける大きな転機です。当時私は、出井さんの下で社長室長を務めていましたが、「事業をやってみたい」と思うようになっていました。十時さんはソニー銀行の設立準備に邁進しており、その姿は、40歳の私に経験のない事業へ飛び込む勇気をくれたように思います。十時さんと私のチャレンジは、創業と既存事業という違いがありますが、インターネットを軸にしているという共通点もあります。

ソネットでは、2005年に社長に就任しました。当時の嬉しい驚きは、ソニー銀行の立ち上げが一段落した十時さんが、「吉田さんが社長をやるなら、そちらを手伝ってもいいですよ」と言ってくれたことです。十時さんはその年の6月に、執行役員専務としてソネットに着任しています。ソネットは同年12月に、東証マザーズの上場を果たしていますが、十時さんの着任で、上場準備も円滑に進むようになりました。

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2005年12月 ソネット、東証マザーズ上場

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2008年1月 ソネット、東証一部上場

■ ソネットの経営
ソネットでの私の経営ビジョンは、「21世紀はエンタテインメントの時代。インターネットがその主な担い手になる。そこで存在感のある会社になりたい」というものでした。このビジョンの下、ユーザーと直接繋がるDTCサービスでもあるインターネット接続サービス(ISP)に加え、人々の動機に近づくエンタテインメント事業にも挑戦しました。韓国ドラマチャンネルの運営、キャラクターのPostPetのゲーム開発・販売、オンラインゲーム企業の買収、そしてアニメ企業への出資などがその例です。

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ISPという通信事業とともに、エンタテインメント事業にも取り組んだソネット時代ですが、振り返ると今のソニーグループと共通点がある気がします。それは、「人の動機に近づく」というチャレンジであり、同時に現業を強化しつつ、新規領域を開拓するという「深化と探索」でもあります。この当時から、十時さんは様々な場面でアイデアを出し、一緒にソネットの経営を牽引してくれました。外部環境を俯瞰した戦略的な視点を持つ十時さんから、私は多くの気づきと学びを得ました。

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2009年 東京ビッグサイトで開催の
ケーブルテレビショー
2010年 ソネット業績説明会

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2011年8月 韓国で開催のコンテンツ見本市BCWW
(Broadcast Worldwide)
2012年8月 ソウルドラマアワード

■ 十時さんの助言
20128月、ソニーのTOBによりソネットは完全子会社化されました。当時私は、ソニーから既に独立した気でいたので、ソニーからの完全子会社化の提案には徹底抗戦の姿勢をとっていました。交渉の過程で買収価格は切り上がっていき、最終提示は一株567,500円、プレミアムは70%超。その時、副社長の十時さんから「吉田さん、我々が上場来一度も付けたことがない株価での提案が来ている。これに抵抗しつづけるのは、株主に対しても説明がつかない」と諭され、私も観念しました。

■ ソニーへの復帰
ソネットの完全子会社化から、1年以上が経った2013年の秋。平井社長から、「ソニーに戻って変革を手伝ってほしい」と言われ、その年の12月に13年半ぶりにソニーに復帰しました。平井さんの依頼で、十時さんも経営企画担当の執行役員として同じタイミングでソニーに戻っています。その後、十時さんはソニーモバイルのCEOとしてモバイル事業の経営を再建。私が20184月にソニーのCEOに就任してからの5年間は、CFOとして、ソニーグループの成長戦略を特に財務面から牽引してくれました。その功績は、先日のグループクォータリーミーティングでも紹介した通りです。こうした実績に基づいて、今回の人事については私から、昨年7月に取締役会議長の隅さんに提案しました。その後、指名委員会や取締役会での複数回の審議を経て、承認された次第です。

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2月2日、ソニーグループの経営体制について報道関係者と投資家・アナリスト向けに説明会を開催

十時さんには、成長に対する強い意志があります。そして彼は会社の成長が、最終的にはソニーグループの社員の成長にもつながることを、大事な点だと考えています。この点については私も全く同じ意見ですが、十時さんと私は、必ずしも意見が似通っている訳ではなく、むしろ意見が異なることがよくあります。マネジメントチームに多様な意見が存在することは、大切なことです。今後も、ソニーグループの成長に向けて、十時さんをはじめとしたマネジメントチームのメンバーと議論を交わしていきます。新体制へのご理解と、ご支援を宜しくお願いします。

なお、今日お話ししたエピソードは2021年10月の「日本証券アナリスト大会でのスピーチで、詳しく紹介しています。

いつも通り、ブログに関する意見や感想をお待ちしています。

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